インタビューの途中、上新石材店さんの作業場の見学もさせていただきました。
広い作業場には、見たこともないほど大きな刃のノコギリや、クレーン、いろんなサイズの石がいたる所に積み上げられています。



作業場に入った梓さんは、頭にタオルを巻いて、目にはゴーグルという職人スタイルに。
作業用のイスにすわると表情も、今までのやわらかい笑顔とは一転、キリリとした表情に変わります。



アノ:梓さんは、毎日ここで作業していらっしゃるんですか?

梓:そうですね。1日の大半をここで過ごしています。

アノ:この時期、暑くて大変ですよね。本当に体力勝負なお仕事なんだなってあらためて感じます。
それを同年代の女性がやってるなんて、本当に尊敬しかありません。

その情熱というかモチベーションは、どうやって維持されてるんですか?


梓:やっぱり、お客様に喜んでいただきたいっていう気持ちですかね。
それこそ、この犬種を作ってほしいんですって言われたら簡単なんですよ。でも、犬種じゃなく、そのコに似せて再現するっていうのはすごく難しくて。

基本的にオーダーいただく時には、写真をいただいて、それを見て平面から立体におこしていくっていう作業になるんですけど、それは完全に独学なんですよね。
やりながら覚えたというか、本当に試行錯誤を重ねてっていう感じです。

だから、周りからよく弟子をとれとか言われるんですけど、感覚でやってるから教えられないんですよね。
そもそも教えるのに向いてないというか。

ここをガツンとやって、その横をガーっと削って、ここはシュシュシュみたいな教え方しかできない(笑)

アノ:長嶋監督的な(笑)

梓:そうなんです。父も昔はお弟子さんをとってたんですけど、60を過ぎてからはとらなくなりました。
私が修行に入ったころは、兄弟子が3人いて。
その中に私が入ったので、娘だから甘やかすんじゃないかって周りに思われるのもイヤだったんでしょうね。厳しくされましたね~。

あ、でも父と仲はすごく良くて。
今は親子2人だけでやってるんですけど、私が考えたけっこう奇抜な作品も「おもしろそうなだぁ」って言ってくれて、私が忙しいと手伝ってくれたりしますね。ああ見えて頭がやわらかいんです(笑)
うちは、家族全員本当に仲いいんですよ。姉はもう結婚して、実家にはいないんですけど、しょっちゅう遊びに来てて。昨日もここでバーベキューやったんですよ。

アノ:ステキなご家族ですね。ちなみに梓さんはご結婚されていらっしゃるんですか?

梓:してます。旦那さんは、飲食店を経営してて、自分のお店でバーテンダーやってます。


アノ:マジすか!?いちいちかっこよすぎます!

梓:あはは(笑)。この仕事も理解してくれてて、本当にありがたいです。
彼のお店にも私の作品が置いてあったりします。

アノ:全然職種は違っても、お互いに認め合える関係、ステキだと思います。
やっぱり、仕事をする上でご家族の支えがチカラになってるっていうことですよね?

梓:本当にそうですね。心から信頼できる家族がいるからこそ、この仕事にも本気で向き合えるんだと思います。
結婚をして、子供を産むかどうかも本当に迷いました。迷ったんですけど、結局私は子供を産まない道を選んだんです。
姉を間近で見ていて子育ての大変さはわかってましたし、仕事と育児の二刀流は、私にはムリだなと思いました。
それで、旦那さんを5年くらいかけて説得したんです。「私はこの仕事を貫きたい。本当にごめん!」と。
最終的には彼も両親も、私のその気持ちをわかってくれました。
石屋という仕事は、それくらい全身全霊でのぞまないとできない仕事なんです。
後継ぎの話とかもありますけど、仮に子供が生まれても、その子に石屋を継がせるかどうかはわからないし、ましてや後継ぎのために子供を産むっていうのは、やっぱり違うと思うんですよ。

アノ:またしても鳥肌が!
梓さんの覚悟が痛いほど伝わってきました。

今の時代、お墓離れというか、石製品にふれる機会ってどんどん少なくなっているように感じるんですが、実際のところはどうなんでしょうか?


梓:そのとおりです。業界としても衰退してるなというのは感じます。
岡崎はもともと石の産地で、多い時には石屋が500軒くらいあったんですけど、今はもう120軒くらいしかありません。
自分の代で終わりにすると、廃業される方も多いです。
10年後、20年後にはさらに減っちゃうでしょうね。
でもそれを何とかしたいと、同じ思いをもつ若手が集まって活動をしています。どうにか新しいことができないかなと。
職人は自分の技術だけ磨いてればいいかっていうと、やっぱりそうじゃなくて。
自分だけよければいいとは思わないですね。これからの業界のことも考えて活動していきたいと思っています。

アノ:梓さんたちがこれから石屋業界に新しい風を吹かせてくれるんですね。
というより、もう十分に吹かせていらっしゃるように見えます。今後もどんな挑戦をされるのか、楽しみにしています。
今日は本当にありがとうございました!

インタビューを終えて

梓さんのところには、取材という形でおうかがいしたのですが、同年代の女性が4人集まってのインタビューは、まるで女子会のようでした。
梓さんの気さくなお人柄もあって、笑い声のたえない楽しいインタビューになりました♪
本当に時間があっという間に過ぎてしまったという印象です。

欲を言えば、梓さんのお父様からのお話もお聞きしたかったなと思いました。
娘が自分の稼業の後を継いでくれて、さらにただ継いでくれただけでなく、伝統を守りつつ新しいことにもチャレンジし、それがきちんと実を結んでいるということ。
そのための努力を惜しまない娘を、誰よりも間近で見てきたからこそ、思うことがきっとおありだと思います。

私たちは、梓さんから、仕事への情熱と覚悟、なせば成るということ、お客様への気持ち、家族への感謝、本当にいろいろなことを聞かせていただきました。
その言葉すべてが心に響いて、尊敬という言葉だけではたりないほどの思いを抱きました。

同年代の女性が、同じ岡崎で、さらに第一線で活躍されているということは、私たちにとって、非常に大きな刺激になりました。
活躍の場は違えど、私たちも、もっともっとがんばろうという気持ちにさせてもらえたことに感謝したいです。

本当にありがとうございました!

<梓さんのインタビューは今回で終了です。次週は 梓さんのステキな作品たちをご紹介します!>

上新石材店さんについて


良質な石の産地である岡崎の地で、伝統製品の灯篭から、完全オーダーのオリジナル製品まで幅広く制作されています。 屋内・屋外展示場には数多くの作品が並び、特にたくさんの石の灯りにいっせいに光がともる様子は圧巻です。

  • 上新石材店(うえしんせきざいてん)
  • 〒444-0009 愛知県岡崎市小呂町新志1ー1
  • 営業時間 8:00-18:00
  • 定休日 日曜日
  • 公式ホームページ

【目次】梓さんの石にかける覚悟とその思い「石で人の心を癒すということ」

強さをもつ人は たくさんの優しさももっている人


梓さんのお話からは、覚悟や信念をもって仕事にのぞむこと、それを貫き通す強さをひしひしと感じました。そしてその強さの中からは、たくさんの優しさも感じることができました。
アノコモも、そんな強くて優しい団体でありたいと思います。


Instagramでハッシュタグ「#アノコモ」を付けて、
この街の犬猫やみんなと顔見知りになろう!

Instagramでみんなの #アノコモ を見る