大切なのは命をあずかる覚悟


アノ:『保護猫カフェ NEKO-TAMA』さんをはじめられて、1 年で 14 頭のコの里親さんが決まったっていうお話だったんですけど、里親さんはどういうふうに決まっていくんですか?

ボランティア団体さんの譲渡条件ってけっこう厳しいっていうイメージがあるんですけど、有記さんのところはどんな感じなんでしょうか?


有記:うちでも一応、譲渡条件というか、アンケートを用意してるんですね。
それで、里親を希望される方にはまずそのアンケート用紙に記入していただいて、ヒアリングをさせていただいています。
あとは、里親さんになっていただくまでに何度もお店に足を運んでいただいて、その都度直接いろんなお話をうかがうんです。そうすると、その方の人となりがわかってきますよね。

絶対にこういう条件の方でないとダメ!っていうんじゃなくて、猫を飼うということに対してどれくらい努力をしていただけるのかをうかがって、必ずしも猫ありきの生活じゃなくてもいいのできちんと『家族』として受け入れてくれる方にお願いしたいなという思いでやっています。

アノ:そのスタイルすごくいいと思います!かっちりと「これでなきゃダメ」と条件を決めてしまうんじゃなくて、里親さんになる方の覚悟というか心構えを重視されるっていうことですよね?


有記:そうですね。「飼いたい」と「飼える」っていうのは違うと思っているので、かわいいコを見て飼いたいと思う気持ちはすごく分かるんですけど、それだけで飼うのは難しいですよね。
やっぱり人の生活あっての動物飼育だと思うので、経済的なこととか、飼育場所とかの問題は大切だと思います。
せっかく里親さんになっていただいても、人の生活が崩壊してしまったら動物たちがケガや病気をした時に病院にも連れて行けなくなってしまって、そうすると結局本末転倒になってしまうので。


あと絶対に必要なのは、命をあずかる覚悟ですね。

私個人としては、動物を飼ったら旅行に行っちゃいけないとか、留守は何時間までとか、そういうことは特に思ってないんです。
旅行に行くんだったら、その間ネコちゃんをペットホテルにあずけるのか、ペットシッターさんにお願いするのか、それとも知ってる人に家の鍵をあずけてその間のお世話をしてもらうのか、きちんと考えた上で、そのネコちゃんにとって一番ストレスの少ない方法をとってあげればいいと思うんです。
動物だけに寄りすぎてもダメだし、自分の都合だけで動物を振り回すのもダメだと思うし、やっぱりバランスが大事なのかなと思います。お互いが幸せでいられる生活が一番じゃないですか。

アノ:本当にそうですよね。このコがいるから旅行はガマンしなくちゃいけないって思うことで、人にストレスがたまってしまうのもよくないですもんね。
お互いがプラスになる関係って理想的ですよね。

一番うれしい瞬間


有記:私がこの仕事をやっていて、一番うれしい瞬間っていうのがあるんです。
それは、里親さんになる方のところに2週間のトライアルでネコちゃんをお届けに行く時なんですけど、私がネコちゃんをつれて玄関に入ったときに、里親さんの表情が一瞬でパッと明るくなるんですよ。

「待ってたよ~!ようこそ、私たちの新しい家族」
って言ってくれてるみたいで、本当に楽しみにしてくれていたんだなぁっていうのが、その表情だけですごく伝わってくるんですよね。
その表情を見た時に、あぁこういう活動をしてきて本当によかったって思えます。



アノ:ステキー♡もうその日からそのコは、その家の家族になるわけですもんね。

有記:そうです。でも、迎え入れたいコが決まって、里親になりたいってお申込みいただいてからも、すぐに譲渡ができるわけではないので。
迎えていただくまでの準備ってたくさんあるんです。
アンケートを書いていただいたり、ケージの用意やトイレの用意、ごはんは今これを食べていて、ドアも開けちゃうから気を付けてくださいとか注意事項をお話して、いろんなステップを経てからのトライアルなので、迎える準備をしてくださってる間の分も、うれしさが込みあげてくるんだと思います。

あと、2 週間のトライアルが終わって、正式譲渡の時にも里親さんのお宅におうかがいするんですけど、そうすると猫の顔が変わってるんです。もう、飼い猫の顔になってるんですよ。

私のことなんて忘れてると思います。
覚えてたとしても、
「あら?なにしに来たの?わたし今、ここで幸せよ?」
みたいな顔で見られるんです(笑)。

それを見た時に、本当に安心しますね。「なーんだ、あなた、ちゃんと飼い猫できるんじゃないの。」って(笑)。


アノ:あはは。それはうれしいですねー。
でもそのうれしさの中にも、やっぱりちょっとはさみしさもありますよね?


有記:そうですね、センターから引き取って「NEKO-TAMA」で真剣にお世話をして、ここにいる間は家族だと思って接しているので、さみしいっていう気持ちももちろんあります。
でも、やっぱり笑顔で送り出してあげたいっていう気持ちの方が強いですね。

ここは最終地点じゃなくて、あくまでこのヒトたちの通過点だと思っているので、いい里親さんが見つかって、つないであげられたら、それが一番うれしいです。

里親さんが見つかるのも、このヒトたちが引き寄せた縁だと思ってるので。
猫たちがみずからこの人の家に行くと決めたんだって思ってます。
「あぁ、このヒトは幸せになる準備ができたんだな」って。


アノ:その考え方ステキですね。
センターからはどんなコでも引き取るんですか?
例えば病気のコとか、気性の荒いコとかも?


有記:はい、基本的にはどんなコでも受け入れます。
もちろん最初に必ず、エイズ・白血病の検査をして、ワクチンを打って、寄生虫がいないか検査をしてからなんですけど。

それで、仮にエイズ検査が陽性のコでも、他の猫たちと仲良くできるようであれば引き取ります。
エイズは空気感染はせずに血液などから感染するので、血が出るようなケンカをしなければ大丈夫と判断してます。
獣医さんによっては隔離した方がいいっていう方もいらっしゃいますけど、エイズキャリアのコを他の猫と一緒に飼っていらっしゃる方もたくさんいますからね。

でも、白血病のコは、申し訳ないんですけどセンターにお返しします。
白血病はエイズと違って、唾液感染やトイレとかでも移ってしまうので、ここのようにたくさんの猫がいるところでの飼育は難しいんです。

モコちゃんとのお別れ


有記:ここにもエイズキャリアのコがいて「モコ」ちゃんっていうんですけど、残念ながら今年なくなってしまったんです。

去年の 11 月くらいからごはんが食べられなくなって、みるみるやせちゃって。
年越しはできたんですけど、全然動けなくて。
ずっと強制給餌をしていました。

私自身、猫の看取り経験がなかったんですね。
それを察知してくれたのか、自分の苦しい姿を見せたくないと思ってくれたのかわかりませんけど、私が夜お店を出て、朝ここに来る間になくなっていました。

その日の明け方に、うちのミルクが私を起こしにきたんです。
いつもはそんなことしないんですけど。

今思うと、ミルクが知らせてくれたのかなって思います。
なくなる日の前日にも、お世話をしてくれていたボランティアさんたちが来てくれて、その時にもしかしたらモコちゃんはあいさつを済ませていたのかもしれません。

<続きます!第4回は 2017/09/27 Wed に更新します>

里親募集型保護猫カフェ『NEKO-TAMA』さんについて


豊田市大林町にある「NEKO-TAMA」さんでは、たくさんのネコちゃんたちが新しい家族に会えるのを待っています。ネコちゃんたちがいるお部屋でヨガをする「猫ヨガ」や、ネコちゃんたちの上手な写真の撮り方のワークショップなどのイベントも開催されています。

  • 住所:〒473-0902 愛知県豊田市大林町 10 丁目 1 番地 9
  • 電話番号:0565-42-2823
  • 営業時間:11 時~ 19 時
  • 定休日:火曜日
  • 駐車場:あり

【目次】有記さんの保護猫カフェの話「一番のボランティアはいつも上機嫌でいること」

動物を家族に迎えるという覚悟


「NEKO-TAMA」の有記さんは、一人でもできる範囲でやろうとこの活動を始められました。動物相手のお仕事はお休みなんてありません。お店の定休日でも必ず2回は、ごはんとおそうじのためにお店に行きます。そして、それは当然のことだとおっしゃいます。

動物を飼うすべての人が、同じ覚悟を持っていられたら。
途中で投げ出される命はなくなるのに。


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