[第5回]こぼれ話と話題になった絵本のこと

エピソード1
三世代がひもとく一冊。「いい本は、伝統!」

浅井:大学生の方が、「3才の時にここで買ってもらった本を下さい」といらしたときは、嬉しかったですね。
ここで本を買ってもらった子が、大人になってまた我が子のために同じ本を探して…。

アノコモスタッフ:「いい本って、そういうカタチで残っていくんですよね」
「わたしも、子どものために探しに来たのに、いつの間にか自分が夢中になっちゃってます」
「お爺ちゃん、お婆ちゃんも来られるお店ですよね。懐かしい本に会いに」
「3世代で通えるなんて!」「伝統ですね!」


エピソード2
絵本と抱っこのぬくもり

浅井:ある方は、『ぼく にげちゃうよ』を買いにいらっしゃいました。子どものころ、お母さんに読んでもらったそうです。そして読み終えると最後にかならず抱っこしてくれたとか。
この方は保育士さんになられました。

—きっと、いいお母さんになられるでしょうね。

エピソード3
忘れられない 見つけたい

浅井:うちのスタッフは、幼稚園で先生に読んでもらった本が、ずっと忘れられなかったそうです。でも、内容はおぼえているけど、タイトルがわからない…。一生懸命さがし、小学校5年生でやっとみつけたそうです。『ちいさいおうち』でした。
いい本は、こうして子どもの心に残っていくんですよね。

エピソード4
将来の職業にも影響?絵本の潜在能力


浅井:ある方のお子さんは、お二人ともお医者さんになられました。だからえらいというワケではありませんが…。よく、教育方針についてたずねられ、そのたびに「絵本を読み聞かせただけ」とお答えになったそうです。
わたしたちも気がつかないところで、絵本の潜在能力って、すごいのかもしれませんね。

アノコモスタッフ:「うちも読ませます!」「将来、お医者さんのお母さん、決定!」(笑)

登場絵本(話題になった絵本)


『アンジュール ーある犬の物語」
(1986年 ガブリエル・バンサン)

「文章がいっさいなく、絵だけで語る本です。どのページもモノクロのデッサン調のイラストだけ。でも、読み手にはすべてが伝わります。絵本の完成形とも言えるんじゃないでしょうか」

『ぼく、にげちゃうよ』
(1942年 作 マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵 クレメント・ハード 訳 岩田みみ)

コウサギとお母さんウサギの言葉の追いかけっこで、母の愛を描いた作品です。浅井さんが一部、朗読して下さいました。


『ぼく にげちゃうよ』作 マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵 クレメント・ハード 訳 岩田みみ

「ぼくにげちゃうよ」
「おまえが逃げたら かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」
「おかあさんが追いかけてきたら ぼくは小川の魚になって 泳いでいっちゃうよ」
「おまえが小川の魚になるのなら、かあさんは
漁師になって おまえを釣り上げますよ」
その後、コウサギが花になると母さんウサギは植木屋に、高山の岩になると登山家に、小鳥になると木に。最後は、人間の子どもになったコウサギを「わたしはおかあさんになって、その子を捕まえて抱きしめますよ」。

アノコモスタッフ:「何か、こうやって聞いちゃいますよね」と目をつむり、頬杖をつきます。
「ぜんぜん悲しくないのに、泣けてきちゃいます」
「究極の母の愛…。理想の子育てのカタチというかな」
「母性を再確認するというのかしら。お母さんのおなかの中にいるような気持ちになってきました」
「本当に、いらない子なんて、いないんですよね!」

『ずーっと ずっと だいすきだよ』
(1988年 作 ハンス・ウィルヘルム 訳 久山太市)


呉先生が”ずっと”さがしもとめ、ちいさいおうちさんにたどり着いた本です。

呉:「うしなった後で、大切な存在だった、もっとああしてあげればよかった、元気なうちに大好きと言ってあげれば良かったと気づくのは、対象が人であっても動物であっても、同じですね」

『いぬは てんごくで』
(2000年 作 シンシア・ライラント 訳 中村 妙子)

愛犬が天国でどう暮らしているかが描かれています。

浅井:名作ですが、チェリーの死後に出合ったため、まだじっくり読むことができないんです。

アノコモスタッフ:「これ、泣かずに子どもに読み聞かせるの、自信がないです」
「でも、すくわれた人も多いですよね。わたしもそのひとりです」


浅井:わたしにもいつか、この本をかいして、チェリーと向き合える時が来れば…。


今回で、子どもの本専門店「ちいさいおうち」浅井さんのインタビューは完結です。
いかがでしたでしょうか?
懐かしい絵本や新しい絵本と出合いに、ぜひ「ちいさいおうち」に足をはこんでみてください。

子どもの本専門店「ちいさいおうち」について


「ちいさいおうち」では毎週、読み聞かせの会を開催。また「ちいさいおうちだより」を刊行し、本や詩を紹介するとともに、児童文学の研究会「バオバブの会」も主催してみえます。

※『ちいさいおうち』はバージニア・リー・バートンの名作。日本では1954年に石井桃子の訳で発行されました。
※お店のロゴマークを手がけたのは絵本作家の高畠 純さん。代表作に『わんわん わんわん』『おどります』『おとうさんのえほん』など。「ちいさいおうち」の看板には、池の面にうつった4軒の家と、ワンちゃんが描かれています。

  • ちいさいおうち
  • 〒444-0057 愛知県岡崎市材木町3-2
  • 営業時間:10:00~18:00
  • 定休日:水曜日
  • 公式ホームページ

【目次】浅井さんの絵本を通して知ったこと「言葉に頼らないから、いっそう通じ合う—。」

絵本と子育てとアノコモ


浅井さんのお話をうかがっていると、言葉だけではない、心と心のコミュニケーションの大切さを実感します。言葉をまだ話せない子どもと、言葉を持たない動物、だからこそ通じ合える関係がある。そんな心と心の関係を、この地域社会にも広めていきたいと、アノコモは考えています。


Instagramでハッシュタグ「#アノコモ」を付けて、
この街の犬猫やみんなと顔見知りになろう!

Instagramでみんなの #アノコモ を見る